イニシエーション・ラヴ - 映画ってあんまり観ないんです

原作（乾くるみ）は傑作でとても面白かった。

同系統のミステリー小説「葉桜の季節に君を想うということ」（歌野晶午）は、結局、謎は解けなかったけど、何度も描写された日本シリーズの年代が謎解きのヒントになることには気づいた。

（この小説を読んでいたときは、ネット環境がなく、わざわざ図書館とかに行って、昔の日本シリーズの年代を調べるのは面倒くさいのでしなかった。）

「イニシエーション・ラヴ」の原作は、種あかししようと注意して読んでいたが、謎を解くヒントすらみつからないありさまだった。

最後の１行を読んでやっと仕掛けがわかり、緻密に構成された仕掛けに舌を巻くだけだった。

叙述トリックものでは、もっとも洗練された作品。

また、表層的には普通の青春小説として読めるつくりが巧みだった。

で、映画版はどんな風になるのか。

多分、失敗作になるだろうと思い、それほど期待しないでとりあえず観てみたが、予想に反してよくできていた。

原作を読んでいる人が観ると、キャスティングに無理を感じさせるかもしれないが、映像化困難な題材を扱いながら、きちんとまとまった面白い作品になっていた。