○別ブログ「~~まであと○○日(ミルクたっぷりの酒・趣味版)」に
2011年5月9日公開したものを転載
個人的なベスト5にはいる「マルホランド・ドライブ」(デビッド・リンチ)、「ツィゴイネル・ワイゼン」(鈴木清順)と同系統、似たようなテイストの作品なので、この映画も好きなタイプの作品ではある。
はじまってから1時間10分位まではすごく面白かったのだが、終盤の30分になってから面白くなくなってしまった。
レンタルDVDで観たので、もう1回観たがやはり開始から1時間10分ほどは面白く、終盤の30分が面白くなかった。
「マルホランド・ドライブ」や「ツィゴイネル・ワイゼン」はベスト5にはいる位好きな作品なのに、なぜ「TAKESHIS'」は終盤の30分を面白く感じなかったのか。
自分なりに考えてみたが、「TAKESHIS'」には「マルホランド・ドライブ」のような構築美・人工美が感じられないからかもしれない。
監督の発言によると、「TAKESHIS'」はオーソドックスなストーリーの作品としてつくったものを、いったんバラバラに分解し、再構成した作品らしい。
あらかじめ緻密に計算された脚本ではなく、バラバラに分解したパーツを無作為につなぎあわせた自動手記的な制作手法をとったために、緻密に構成された作品が好きな自分には物足りない作品になったのかもしれない。
大物芸能人として成功した実際のビートたけしを思わせる登場人物と、売れなかったときに歩んだかもしれないもう1人のたけしを思わせる人物。
2人の世界を並行世界としてリンクさせながら描いた手法はやはり面白い。
「マルホランドドライブ」は2つの世界を、「前半から中盤の世界」と「終盤に描かれた世界」と映画内の時間軸によって描きわけたが、「TAKESHIS'」では2つの世界を同時併行に描いている点が「マルホランド~」とのちがいであり、この作品の面白さになっている。
それだけに、終盤30分の描き方が納得いかない。
むしろ、バラバラに解体する前の作品がどんな内容だったのか観てみたかった。
個々のエピソードでは「ツィゴイネル・ワイゼン」を思わせる描写もあった。
あと、これは多くの人が言及していると思うが、死の影を非常に感じさせる作品であった。
90年代のバイク事故で生死の境をさまよったという、その時の経験・記憶がつよい影響を与えている作品ではあろう。
[おまけ]
雑誌に京野ことみのベッドシーンがあると載っていたので、そちらも期待していたが、あっさりした描写で拍子抜けした。
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