デヴィッド・リンチ「イレイザー・ヘッド」「ロスト・ハイウェイ」「マルホランド・ドライヴ」「インランド・エンパイア」

作者のイメージを映像化した作品で、説明とかが一切ないので、理解しようとすると難しい。

これは面白かった。

先に「マルホランド・ドライヴ」を観ていて、あとでこの作品のことを知ったので、この映画を発展させて、あるいはこの映画の延長線上で「マルホランド・ドライヴ」がつくられたことがわかる。

アンチ・リアリズム作品の傑作。

個人的なNo.1 favorite作品。

この映画の評でよくみかけるのは、２つの世界のうち、１方をリアルの世界（本当にあった出来事）、もう１方を非リアルの世界（夢だとか、生と死の狭間の世界etc）と捉えるものだった。

自分は、どちらかがリアル（本当）でどちらかが非リアルの世界とは解釈していない。

作品全体がメビウスの輪のような構造をした虚構の世界ととらえている。

ローラ・ハリング演じる女性が、序盤、マルホランド・ドライブの事故現場でメビウスの輪の反対側の世界へ移ってしまい、後半、箱に鍵をさして再び、反対の世界へ移ったと解釈している。

もっとも、あくまでも自分自身の解釈にすぎず、監督本人にそのような意図があったかは不明だけれども。

「ロスト・ハイウェイ」「マルホランド・ドライヴ」の２作品はエンターテインメント的な面白さがあったが、この作品には娯楽的な面白さはあまりない。

時間も長いから、デヴィッド・リンチのマニアックなファンの観賞用の作品といった趣き。